8.1.C 他の熱交換器との比較、価格比較

  1. 従来の平滑管を用いた多管(円筒)式との比較

    コルゲート管の伝熱能力やDSシリーズの長所のこれまでの記述は、全て従来の平滑管式熱交換器との比較です。
    最も重要なのは、価格比較です。
    高伝熱特性のため、必要伝熱面積が1/3という小型化が可能の上に、1−1タイプという簡易構造が可能となり、更に徹底した標準化を加えて、大幅なコストダウンを実現しました。

               平滑管式との価格比較
        平滑管式             コルゲート管式・DSシリーズ
        普通材製        >       SUS304製
       SUS304製       >>      SUS304製    価格 1/2〜1/3
       SUS316製      >>>     SUS316L製
       SUS316製       >>      全チタン製

    即ち、コルゲート管熱交換器 DSシリーズは、従来の平滑管式に比べてSUS材製が普通材(炭素鋼や銅合金系)製よりも安く、SUS製、チタン製となれば、比較にならぬほどに安価になります。
       特に、全チタン製は割安です。平滑管のSUS製よりも安くなるほどです。
       海水クーラーでは、完全耐蝕材のチタン製を選択すべき時代となります。
    即ち、DSシリーズの使える範囲では、DSシリーズが圧倒的に優れています。
    高性能のコルゲート管が採算ラインを突破しただけでなく、大幅なコストダウンを実現した以上は、これからの時代は多管式では、コルゲート管が主流となるでしょう。
    DSシリーズをコルゲート管熱交換器の出発商品とするのは、今後コルゲート管により多管式が新たな展開を可能とすると考えるからです。引き続きDSシリーズの大型器や応用器の商品化を計画中です。

     

  2. プレート型との比較

    A.価格比較

    コルゲート管熱交換器 DSシリーズとプレート型の価格比較において特徴的なことは、コルゲート管やプレートの材質による価格差はあまりなく ( どちらも SUS 標準 ) 、シール性、或いはシール材、ガスケット材の可否において、大きな価格差を生じることです。

                    プレート型との価格比較
    ゴム系ガスケット使用可の場合
                               コルゲート管式
                    プレート型  >  DSシリーズ

    ゴム系ガスケット使用不可の場合
                                コルゲート管式
                    プレート型  >> DSシリーズ

    B.プレート型の欠点は、シール性が悪いこと。
    プレート型の長所は、分解掃除可能にあります。
    この長所がそのままプレート型の欠点になります。即ち、シール面が多すぎる、ガスケット枚数が多過ぎる(プレート枚数だけ必要)ということです。
    プレート型は、シール面が多すぎるため、漏れ事故が多く、シール性のよいゴム系ガスケットは寿命が短く、メンテが面倒な上に費用も相当大きなものです。
    また、熱交換すべき流体には、特に化学工業においては溶剤が含まれることが多々あります。この場合は、ガスケット材質の選定が厄介となります。
    プレート型のこの欠点のために、簡易型として、全体を蝋付で一体溶接した構造のブレージングタイプも出ています。これは全く分解不能の簡易型で、取り合いもねじ込み式のものです。
    このようにプレート型は、漏れ止めの信頼性が悪いことが最大の欠点です。
    プレート型のユーザー殿の評価では、「分解掃除出来るから良い」というプラス評価と、「メンテが大変」というマイナス評価に2極分化しているようです。
    一方、コルゲート管熱交換器 DSシリーズは、シール面が一切ありません。即ち、漏れ個所が存在しないのです。工場の安全管理上、極めて優れる点です。
    C.圧力損失
    プレート型のもうひとつの大きな欠点は、圧力損失が大きいことです。
    流量が大きくなると、この圧損大のための電力は、ランニングコスト上無視できないものとなります。
    小型範囲では、ランニングコストとしては小さなものですが、現実の運転条件においては、圧力損失が大きいと熱交換器のために送液ポンプが必要となる場合が多々あります。
    小型熱交換器のために回転機械が増せば、その電気制御系の複雑化は相当なものであり、このためプレート型は使えないとするユーザー殿も数多く存在します。
    コルゲート管熱交換器 DSシリーズの圧力損失は、多管式と同じかより小さいものとなります。(1−3−4−参照)
    D.汚れが詰まりやすい
    プレート型は、流路が小さい、、隙間が小さいので、応答が速いという利点を持つ一方で、汚れが詰まりやすいという欠点も持ちます。
    このためプレート型では、汚れの詰まりのための監視機構をつけられているユーザー殿も多いものです。
    分解掃除がしやすいという長所がある反面、分解掃除の回数が多いという欠点もあります。
    F.プレート型は、追加コスト大
    以上より、プレート型では、本体価格以外に付帯設備コストやランニングコスト、メンテナンスコストがかなり必要となることが多いという欠点があります。
    本体のみの価格比較では、その点を見落としがちですので注意が必要です。
  3. 結論

    上の比較より明確となることは、多管式熱交換器においては、コルゲート管の使用に支障のない用途では、コルゲート管タイプが平滑管タイプよりも明確に優れています。そして、熱交換器のほとんどの用途では、コルゲート管の使用に支障はないはずです。
    今後、熱交換器の選択は、コルゲート管熱交換器とプレート型熱交換器の選択検討の時代となるでしょう。その比較は単に価格のみでなく、耐久性安全性を踏まえて、メンテナンス費も含めた総合比較となるでしょう。


安い 小さい コルゲート管熱交換器DSシリーズ


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