- 前項を要約すると
平滑管は、管壁の境界層を発達安定させる流れであるのに対し、
コルゲート管は、螺旋一巻毎に境膜を切断、引き剥がす流れとなります。
この結果、コルゲート管熱交換器は、管の内外の境膜の平均的厚みが 1/3以下となり、境膜伝熱係数が3倍以上となる。
但し、螺旋溝の凹凸が大きすぎると、逆効果となることは、当然に予想されることです。また、螺旋ピッチが大きすぎると、境膜剥離効果がなくなります。
従って、コルゲート管の形状には、伝熱促進管として優れた性能となる最適形状が存在するわけであり、その開発には時間を要しています。
- スケール付着も 1/3以下に
スケール付着は、流体の中の汚れが層流境膜内で管壁に付着することによって起こります。
付着スケールの厚みは、付着蓄積量と流れによる引き剥がし量のバランスで決まります。
即ち、乱流が強くて層流境膜が薄いほど、即ち伝熱特性が良いほど、スケール付着が少ないことになります。
コルゲート管においては乱流効果により、管の内外の境膜の平均厚みが平滑管の1/3以下に薄くなる訳ですから、スケール付着に関しても付着蓄積量が小さくなり、乱流による引き剥がし量が大きくなり、平滑管の1/3以下のスケール付着となります。
即ち、コルゲート管は螺旋溝による乱流発生によって、スケールの自浄作用も併せ持つことになります。
- 総括伝熱係数 が3倍以上に
以上より管の内外の伝熱特性において、平滑管の3倍以上の伝熱能力、またスケール付着に おいても平滑管の1/3以下となることで、コルゲート管熱交換器DSシリーズでは、総括伝熱係数が、平滑管の熱交換器の3倍以上が可能となります。
従って、必要な伝熱面積が1/3で済むという信じがたいほどの小型化が可能となりました。
単純に想像してみて下さい。
従来の平滑管の多管式で伝面1m2、3m2、10m2の大きさを想像してみて下さい。
伝面が1/3になれば、どれだけ小型化されるでしょうか?
3m2のDSシリーズは10m2の平滑管式と能力が同じなのです。
あるいは、ある平滑管の熱交換器で、その伝熱管をコルゲート管に変えることで、伝熱能力が3倍となるのです。
- 圧力損失も低下
コルゲート管は強い乱流を発生するため、当然に単位長さ当りの圧力損失は、平滑管よりもかなり増大します。
しかし、必要伝熱面積が1/3以下ということは、流路長さが1/3になるに等しく、流路長さによる圧力損失は1/3以下となります。
従って、熱交換器全体としては平滑管式よりも圧力損失は低下します。
但し、熱交換器としての流速設定やコストダウンのための型番数限定の理由等から、平滑管式と同程度となることもあります。
- 安価
コルゲート管熱交換器DSシリーズは、必要伝面が平滑管式の1/3の小型化に加え、徹底した標準化により、ステンレス製のDSシリーズが普通材製の平滑管式熱交換器よりも価格が小さいというほどに大幅なコストダウンを実現しました。
価格比較の詳細は、4.に記述します。
安い 小さい コルゲート管熱交換器DSシリーズ