5.2.F メカニカルブースターの重分子低減


メカニカルブースターはルーツ形の、即ち、容積形の機械的真空ポンプですから、吸込容積量は、吸込ガスの重さに関係なく同じと考えられていますが誤りです
化学工業用では、通常空気以外のガス、有機ガスも吸込みます。そのため、多くは
    メカニカルブースター+空気エゼクター+水封式真空ポンプ
の組合せとなっています。
このメカブ3段ユニットで、有機ガスを吸込む場合は、その吸込ガスの平均分子量が、空気よりもはるかに重いガスとなることが普通です。
4.2.B エゼクター性能の分子量補正について」で、詳しく説明したように、エゼクターは重分子の吸込み時には、容積量表示の性能では大幅に低下します。空気吸込テスト性能に比べて、平均分子量53で70%に、平均分子量87で50%にと、実に大幅な性能(容積量)低下をします。
従って、このエゼクターを補助ポンプとするメカニカルブースターも当然大幅に性能低下することになります。重要なことは、メカブを必要とする真空度、即ち、1〜10Torr範囲では、高沸点成分、即ち、重分子を吸うことが多いことです。
メカブの後段のエゼクター能力が半減すれば、メカブも半減近い性能ダウンとなるでしょう。
メカブの性能は、補助ポンプとの容量比や圧縮比によって性能が決まるのですが、その性能を推定する明確な計算方法があるのではなく、空気吸込テスト性能を標準用として代用しているだけです。エゼクターにおけるHEI規格のように信頼できる計算方法があるわけではありません。
従って、工学的、技術的に確実な方法としては、安全側で決定すると言う手法となります。
安全側でメカブの性能を考えるならば、メカブもエゼクターと同じく、重分子低減をするとして、検討すべきとなります。即ち、空気エゼクターを補助ポンプとするメカニカルブースターは、エゼクターと同じく重分子低減をするのです。
従って、空気以外のガスを吸込む場合には、メカニカルブースターは容積量のみの指定ではなく、合わせて平均分子量も指定をせねば大きな誤りとなる可能性があります。




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