5.3.E 現実的段階的材質選択

強腐蝕性物質、特に強酸吸込み用の真空ポンプでは耐蝕材は高価ですから、コストダウンのためには段階的に材質選択をすべきです。
多くの場合、腐蝕性ガスの同伴量は微量であることも多いものですから、5.3.Aの耐蝕材、耐蝕表と合せて検討すべきです。
以下、現実的な材質選択の考え方を列記します。
・真空排気装置内でのガスの流動状態について、流速が早いか否か。
・腐蝕が出ても、性能および機械的影響が小さい部分か否か。
・機内配管のように容易に手当てできる部分、部品かどうか。
・メカニカルシールのスプリングのように、確実な耐蝕材で製作すべきもの。
等々、必要コストを考えて材質を選択すれば、かなり幅広く材質選択できるはずです。
即ち、SUS316、チタン、ハステロイ、プラスチック併用の真空排気装置が現実的となります。
以下、真空ポンプユニットの各部で選択可能な材質を表示します。
スチームエゼクター:SUS316、チタン、ハステロイ、カーボン
性能余裕を設定して安価な材質選択もありうる。但し、温度上昇に注意。(尚、空気エゼクターは低温運転)
コンデンサー:SUS316、チタン、カーボン(多管式とブロックタイプ)
伝熱管のみをチタンとする場合は、かなり安価です。伝熱管のみは、海水用でチタンが普及しているために安価です。但し、拡管のみでシール溶接は高価となります。
水環真空ポンプ:SUS316、NaOH水運転、チタン、ハステロイ
ケーシング(ステーター)をチタンとし、インペラー(ローター)をハステロイ等とする材質組み合せポンプも可能。
クーラー:コルゲート管熱交換器はSUS316、チタン
ハステロイ不可。カーボン製の場合は、高価、大型となる。
セパレーター:SUS316、チタン、FRP、PVC等のエンプラも可能。
機内配管:SUS316、チタン、FRP、PVC等のエンプラ。
弁、サイトグラス等:なるべくエンジニアリングプラスチックを使う。

これらの材質から、信頼性とコストを考えて現実的に選択すべきと思います。
叶環技研は、これらの材質全ての組合せ製作が可能です。
お引合いには、なるべく材質指定をお願い致します。勿論、お問合せには、当方の実績上の考え方も御説明致します。

   カーボン製 ジェットリング

   100JR―2ST+80TYV・C

   吸込みガス: 塩酸(HCl)、Air、他
   空気相当 17m3/min × 7.5 Torr(1KPa)

   真空ポンプ系は中和運転により全SUS316、SCS13製





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